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富山文学ゆかりの地
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富山
前田普羅、瀧口修造、角川源義
富山市中心部にある富山城址公園には、高浜虚子門下の四天王の一人に数えられた俳人・前田普羅の句碑があります。普羅は、そそり立つ立山連峰を仰ぎ見て、富山に住むことを決めました。雄大で美しく、かつ厳しくもある富山の風土は、日本を代表する美術評論家で詩人の瀧口修造や、角川書店を創立した俳人・角川源義など、多彩な人材を育てました。 -
2
いたち川
宮本輝、源氏鶏太
富山市街地を流れるいたち川は、豊かな地下水に恵まれ、川べりでは、万病に効くとして古くから伝わる延命地蔵尊など、湧水が多く見られます。少年時代の一時期に富山の地に住んだ作家の宮本輝は、このいたち川などを舞台に、小説『螢川』を執筆し、芥川賞を受賞しました。昭和61年(1986)に映画化され、ロケが行われた富山市辰巳町には記念碑があります。また、いたち川が流れる富山市泉町の橋のたもとには、サラリーマン小説で一世を風靡した地元出身の直木賞作家・源氏鶏太の随想『一本の電柱』の文学碑が建てられています。 -
3
八尾
吉井 勇、高橋 治、五木寛之
富山市八尾町では、初秋の風が吹く毎年9月1日から3日にかけて、「おわら風の盆」が行われます。哀調をおびた唄と胡弓の音色にあわせて、編笠姿の男女の列が、踊りながら町を練り歩きます。高橋治の『風の盆恋歌』や五木寛之の『風の柩』の題材にも取り上げられました。また、町内には、歌人・吉井勇の歌碑などがあります。 -
4
立山
田部重治、新田次郎、辺見じゅん
日本三霊山の一つである立山は、信仰の対象としてだけでなく、文学の題材としても不可欠な名峰です。富山市出身の英文学者・田部重治は、『山と渓谷』で立山登山の記録を情感豊かに記し、山岳文学の第一人者としての地位を確立しました。新田次郎の小説『劒岳 点の記』は、前人未到といわれた剱岳を舞台に、登頂と測量に挑む男たちの姿を描いたロマン溢れる作品で、平成21年(2009)に映画化されました。幼年期を富山で過ごした歌人・作家の辺見じゅんは、エッセー『立山の精霊市』で、立山信仰の魅力や立山への思いをつづっています。 -
5
黒部峡谷
冠松次郎、田中冬二など
黒部峡谷は、黒部川の浸食によって形成された日本一深いV字谷です。トロッコ電車の愛称で知られる黒部峡谷鉄道が峡谷を縫うように走ります。大正14年(1925)、登山家の冠松次郎は、黒部峡谷をはじめて完遡し、後に『黒部谿谷』を著しました。
黒部峡谷は豊かな温泉にも恵まれ、富山にゆかりの深かった昭和の詩人・田中冬二は、黒部峡谷の秘湯・黒薙温泉をたびたび訪れて『くずの花』などの詩を残しました。黒部峡谷の玄関口にある宇奈月温泉には、開湯以来、多くの文人墨客から愛されてきた歴史があり、志賀直哉が小説『早春の旅』で描いたほか、歌人の与謝野寛・晶子夫婦や宮柊二・英子夫婦、西脇順三郎らも訪れました。 -
6
入善
柏原兵三
入善町の上原小学校跡地には、芥川賞作家・柏原兵三の小説『長い道』の文学碑があります。疎開中、柏原が身を寄せた入善町吉原から旧上原小学校まで真っすぐ延びる一本道が小説の舞台となりました。『長い道』は、漫画家の藤子不二雄Ⓐが『少年時代』として漫画化し、篠田正浩監督によって映画化もされました。 -
7
高岡
藤子・F・不二雄
高岡市は、加賀藩二代藩主前田利長によって開かれ、県西部の中核都市として発展してきました。高岡駅前の複合施設「ウイング・ウイング高岡」や、同市佐野の「高岡おとぎの森公園」には、同市出身の漫画家の藤子・F・不二雄が描いた『ドラえもん』のキャラクター像が設置されています。 -
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瑞龍寺
木崎さと子
高岡市関本町にある瑞龍寺は、高岡の町を開いた加賀藩二代藩主前田利長の菩提寺で、曹洞宗の名刹です。三代藩主前田利常の建立で、壮大な伽藍配置様式の典雅な美しさに圧倒されます。山門、仏殿、法堂は、県内で初めて国宝に指定されました。少女期を高岡で過ごした木崎さと子の小説『楼門』では、作品の重要な舞台の一つになっています。 -
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伏木
室生犀星、堀田善衞
高岡市伏木はかつて北前船の一大拠点として栄え、港への出入りを見張った望楼が市内で唯一残る「旧秋元家住宅」は、資料館として開館しています。当時の廻船問屋の情景は、地元出身の芥川賞作家・堀田善衞の『鶴のいた庭』に描かれています。また、室生犀星の小説『美しき氷河』も、北前船で栄えた伏木の町を舞台にしています。 -
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氷見
藤子不二雄Ⓐ
氷見市出身の漫画家・藤子不二雄Ⓐの生家である光禅寺には、『怪物くん』などのキャラクターの石像が建っています。また、市街の中心部を流れる湊川に架けられた「虹の橋」には、『忍者ハットリくん』のカラクリ時計があり、橋につながる潮風通りには、藤子不二雄Ⓐのキャラクターのオブジェが設置されています。 -
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城端
P.A.WORKS『true tears』
「越中の小京都」とも呼ばれる南砺市城端には、初秋の町並みを情緒一色に染めあげる「城端むぎや祭」と、春を彩る「城端曳山祭」があります。城端に拠点を置く映像製作会社ピーエーワークスが制作したアニメ『true tears』には、この2つの祭りをモデルにした「麦端まつり」が登場します。同アニメは、城端を中心に、県内の実際の景観や建物をモデルとした美しい町で繰り広げられる青春恋愛物語です。城端の町は、アニメファンにとっての「聖地」となっています。 -
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五箇山
岩倉政治、司馬遼太郎
世界遺産の「合掌造り集落」で知られる五箇山には、古き良き日本の伝統文化が今も残ります。司馬遼太郎は、紀行文『街道をゆく』で、五箇山の歴史や合掌造りの「村上家」を的確な描写で記しました。また、小説家の岩倉政治は、『行者道宗』で五箇山の精神文化の中核ともいうべき妙好人・赤尾道宗の姿を描きました。
道宗が開いたとされる行徳寺には、道宗遺徳館があり、道宗にまつわる宝物のほか、柳宗悦、棟方志功などの民藝関係資料が展示されています。