2024.10.02

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当館について

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皆様へ

高志の国文学館 館長 室井 滋

 高志の国文学館はかつての知事公舎が、『蔵と土間』『垣入(かいにょ)』などをイメージして生まれかわった県民のための文学の博物館です。

 その開館から十年。北陸新幹線の開通などに伴い、県民の暮らし、そして他県との文化交流にも変化が生まれているように感じます。

 私は長きに渡り、東京で、俳優や随筆家、絵本作家として活動しておりますが、この心は常にふるさとにあります。

 移り変わる時代でモデルチェンジする列車の中、行きは仕事関連の書籍や脚本、帰りは富山で見つけた昔話や歴史本、山や海の謎の本、薬や動物やお料理の本、あれこれ読んでその道中を楽しんでまいりました。

 外から見た富山は豊かでしなやかで、しかもなかなか刺激的な所だと再確認し、帰京すれば「私、富山ながです」をアピールしたくなります。

 この度、そんな大好きな富山の文学館二代目館長を謹んでお引き受けいたしました。

 私の役目はおひとりでも多くの県民の方に足を運んでいただけるよう、当館を盛り立てること。そのためには皆様が”味わいたい 掘り下げたい”と日頃感じていらっしゃる文学・芸術作品が何かを知り、より良い形で御覧いただけるようにするのが第一義と思っております。

 県民の皆様の”心のオアシス””身になる学びの場”となれるよう、そして県外からはこれまで以上に”富山の名所”となれるように努力いたします。

 大人から小さなお子様まで、心よりお待ち申しあげております。

初代館長あいさつ

高志の国文学館 初代館長 中西 進

 平成24年7月6日、富山県立の「高志(こし)の国文学館」(KOSHINOKUNI Museum of Literature)が開館しました。

 館名の「高志の国」とは、古来北陸一帯を越(高志)の国と称したことに因(ちな)んでいます。富山県はこの越の国の中でも越中と呼ばれてきましたので、隣接する他県と一層の連携を深め、越地方を広く視野に収めて、文化を顕彰したいと思います。

 「高志」の表現は古く『古事記』に登場します。本館はその伝統を尊ぶと同時に、今日においてもなお、この表記に背かない、高い志を県民全体が共有することを願ってやみません。

 本館は、高志の国ゆかりの文学資料を収集、展示しようとしておりますが、その主旨は、最近、ことばが貧困になり、乱れ、軽薄となって、正しく心を表現することができなくなっていることに鑑み、郷土ゆかりの人びとの文学の中から、心の本当の伝達を取り戻したいと願うところにあります。

 わたしたちは正しくことばを選びとる過程で、真実の心の姿も求めることができ、人間としての誇りを自覚することになります。

 文学を通して、正しい生き方を学びたいという熱い願望があります。

 したがって、文学といっても、ジャンルにこだわらず、広く文化の一環として文学を捉える文学館でありたいと願います。

 たとえば本館のアドバイザーの一人、篠田正浩監督は、映画を「日本語の語法で撮りたい」と主張しておられます。そのように映像もひとつのことばです。

 幸い富山県は、堀田善衞をはじめとする数多くの作家を生んでおり、棟方志功のように深いかかわりをもつ芸術家も枚挙に遑(いとま)がありません。

 本館では、県民の皆さんにこれらをふるさとの証言として学び取って頂くと同時に、広く日本内外の方々が生き方を学ぶ一助としてご来館下さることを期待しております。

当館の概要

富山県は、万葉歌人・大伴家持が223首もの歌を詠んだ越中万葉ゆかりの地です。また、堀田善衞や源氏鶏太、角川源義といった作家を輩出しているほか、宮本輝の『螢川』、柏原兵三の『長い道』、新田次郎の『劔岳 点の記』など、富山を舞台にした文学作品も多数あります。さらに富山県は、映画では滝田洋二郎や本木克英、細田守を輩出し、漫画では藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄らを生んでいます。

高志の国文学館は、これら富山県ゆかりの作家や作品の魅力を幅広く発信し、誰もが気軽に「ふるさと文学」に親しみ、学ぶことができるとともに、新たな創作への刺激ともなる場として開館しました。

高志の国文学館の基本理念

  • 富山県ゆかりの作家や作品をわかりやすく紹介するふるさと文学の総合窓口
  • 文学作品のみならず、絵本、映画、漫画、アニメなど幅広い分野の作品を気軽に楽しみ学ぶ機会の提供
  • 深く探求する・創作する・発表する刺激ともなる場の提供

沿革

2008年 6月
ふるさと文学魅力推進検討委員会の設置
2008年10月
県民アンケート調査の実施
2009年 2月
委員会「ふるさと文学の振興に関する報告書」を報告
2009年 6月
ふるさと文学資料評価・活用委員会を設置
2009年11月
知事公館を廃止し、文学館の建設候補地として発表
2010年 2月
委員会「ふるさと文学の拠点施設の整備・運営にかかる基本的な考え方」を報告
2010年 3月
「富山県ふるさと文学館(仮称)整備基本方針」を策定
2010年 3月
知事公館を廃止
2010年 5月
文学館開設準備委員会を設置
2010年11月
館長予定者として辺見じゅん氏が顧問に、中西進氏、篠田正浩氏、 藤子不二雄Ⓐ氏、滝田洋二郎氏がアドバイザーに就任
2011年 4月
公募したレストラン部門に「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」の出店が決定
2011年 7月
建築工事に着手
2011年 9月
名称を「高志の国文学館」に決定
2011年 9月
辺見じゅん顧問が急逝
2011年10月
高志の国文学館条例を一部施行
2011年11月
高志の国文学館指定管理者の募集開始
2011年12月
中西進館長が就任
2012年 1月
高志の国文学館開館日を7月6日に決定
2012年 7月
開館
2012年 8月
秋篠宮同妃両殿下ご夫妻並びに佳子内親王殿下ご来館
2013年 2月
入館者10万人達成
2013年 10月
入館者20万人達成
2013年 10月
高円宮妃殿下ご来館
2014年 8月
入館者30万人達成
2015年 7月
入館者40万人達成
2016年 7月
入館者50万人達成
2017年 5月
天皇皇后両陛下ご視察
2017年 6月
入館者60万人達成
2018年 3月
レストラン「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」閉店
2018年 5月
レストラン「ブラッスリー・エ・サロン・ド・テ・シェ・ヨシ(通称シェ・ヨシ)」が出店
2018年 5月
入館者70万人達成
2019年 4月
入館者80万人達成
2020年 2月
入館者90万人達成
2021年 10月
入館者100万人達成
2022年 7月
開館10周年
2023年 3月
入館者110万人達成
2023年 3月
中西進館長が退任
2023年 4月
室井滋館長が2代目館長に就任
2024年 4月
入館者120万人達成